ネックのレストア

修理には、専用の道具をいろいろ使います。海外から購入するものもありますが、
自分で作ったり、百円均一でも購入できる日用品を、工夫したり改造することも多々あります。

指板を剥がす、剥がしべら、は、ケーキにクリームを塗るパレットナイフを、短く切って、鋭く研いで自作しています。

・ペグ穴をブッシング
弦を捲くペグは、本体との摩擦力で止まっているので、長く使っていると、本体の穴が擦り減ってきますし、ペグもヘタってきます。
広がった穴は、新しい木で埋めるブッシングをして、ペグ穴を作りなおします。

元の穴にぴったりの柘植の木を作って、膠で止めるのですが、膠を付けると木が膨れるので、接着作業はほんの一瞬で行います。
簡単そうですが、正しいやり方を知らないと、一瞬で正しい位置に止めることはできません。

・ネックを切る!
え?って感じですが、ネック部分も消耗品です。指板の付け替えなどで、何度もカンナを使うと厚みが減ってしまいますし、
特に、17世紀以前に作られた楽器は、バロックサイズのネックが付いているので、現代のサイズのネックに付け替える必要があります。
ので、高価な楽器のネックも、鋸であっさりと切ってしまいます。

・継ぎネック
楽器の糸箱やスクロールなどヘッドの部分は、作家の個性の部分なので温存して、新しいネックを継ぎ足します。
継ぐためには、新しいネックを用意することと、古いヘッドとの継ぎ合わせ部の調整が必要です。

これは、めちゃくちゃ難しい工程で、やらないと理解できないし、やっても理解と木工の技量がバランスしないと、
うまく継ぎの調整はできません。

新しいネックを作りなおすこと3度、刷り合わせを調整するのに3か月もかかってしまいました、
元のヘッドを削る分量には限界があるので、刷り合わせは、一定の削り量の範囲内で、ぴったり一致するように
削り合わせていかないといけません。

木工は得意な方ですが、こんな難しい技は初めて習いました。おかげで、曲面の擦り合わ工作はずいぶんと上達しました。
ここも、膠での接着作業は一瞬で行います。失敗すると、3か月の作業が水の泡になります。
緊張!!、まあ、なんとか上手くできたようです。

・膠の扱い方、
膠(にかわ)は動物由来のゼラチンです。日本の三千本膠なども使えますが、楽器専用の膠が売られています。
ケーキに使う粉ゼラチンを溶かすように、湯銭すると簡単に水に溶けますが、接着作業は、木工ボンドを使う要領ではダメです。
接着面の温度を十分に高くするために、ドライヤや電気コンロ、なんと電気毛布まで使って、材料を暖めてから、
膠を塗り、塗ったら木が膨らむまでの短時間で、接着位置を正しく固定する、かなり熟練が必要な接着材なのです。

でも、膠は非常に強い接着力があり、楽器を組み立てる強度は十分ですし、にも関わらず、
やり方を覚えると接着を剥がすことも比較的容易ななので、長期間に渡ってメンテナンスが欠かせないバイオリンには
欠かせない接着材として、使われ続けています。



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