楽器の歴史

聖地巡礼

バイオリンの製作といえば、皆さんご存じ、イタリアのクレモナが聖地の一つです。あと同じイタリアのミラノや、ドイツのミッテンバルトやフュッセン、フランスのミルクール、チェコのマイクノイキーヘンなどもご存じかもしれません。

日本では、世界的にみて、やや異常にイタリアが崇拝されていますが、古いドイツの楽器の系列にも、良い音の楽器があります。いずれにせよ、クレモナとミッテンバルトが二大聖地と言ってよいと思います。

独身の頃、クレモナに行ってみたかったのですが、たまたま、同僚が合コンを企画をして、相手女子との人数合わせで頼まれて参加したときに、隣になったよく喋る女子が、どっか行きたい国ある?と訊いてきたので、イタリアかな?と返事したのがきっかけで、その女子とイタリアに新婚旅行に行くことになりました。人生の落とし穴です。

クレモナ

今みたいに、ネットでホテルを予約したりできなかったので、とりあえず飛行機に乗って、ローマに入って、それから旅をしながら宿をとる風来坊旅行で、クレモナにも行ってきました。

クレモナには、ストラディバリ博物館がありますが、書籍で知っていた工房を訪ねて見学したり、ストラディバリが住んでいた家を見に言ったり、公園には彼の墓石がモニュメントとして置いてあり、そこを訪ねたりしました。 あとで、写真を付け加えますね。

ミッテンバルト

勤続10年で長期休暇をもらって、子供2人を連れて、今度はミッテンバルトに行きました。観光化されていないので、日本ではあまり紹介されません。ここは、友人がたまたまドイツ旅行で泊まった民宿に部屋を借りて、一週間滞在しました。

子供達が小さかったので、行先ざきで、ドイツ人観光客のビデオカメラを向けられました。ドイツ人にも外国人の子供って可愛くみえたのかもしれません。オクトーバーフェストに行ったり、本場の生ビュルストを茹でて地ビールを呑み、もちろん、工房を見学したりしてきました。 これも、あとで、写真を付け加えますね。

巡礼の効果

バイオリンを習うわけでもなく、ただ行っただけですが、その後、バイオリンの製作を習う上では、とても役に立ってます。バイオリン工房の方々の多くは、ドイツかイタリアで修行されてきた方ですし、製作学校の先生も、ドイツマイスターとイタリアで修行した先生ですので、普段の作業をしながら、クレモナの話や、ドイツの話がいろいろと出てきます。

たった数日ですが、行って見てきた実感があるおかげで、先生から聞く話が、実感としてよく伝わってきます。

見てきて知っていることもあると、先生との会話もスムーズになって、話の流れから、色々とカリキュラムにないことを口頭で教わることもあります。
演奏と同じで、一人でコツコツと鍛錬するだけでは、進歩の速度にも限りがありますが、先輩との交流で知らず知らずのうちにしまうこともあります。

製作学校

クレモナには国立のバイオリン製作学校があります。ミラノやミッテンバルトにも学校があります。
クレモナは映画の 耳をすませば で天沢聖司くんが行ったとこになってるので、皆さんよくご存じですね。

製作の歴史

製作学校では、とにかく、作ります。演奏と同じで、頭で覚えてもできないので、カラダを動かして作りながら覚えていきます。製作の歴史についてはあまり習いません。なので、学校で習っている生徒達の多くは、今習ってるのは、クレモナでストラディバリがその師匠のアマティから習ったそのままの内容と思っていると思いますが、違います。

バイオリンの発祥の地については諸説ありますが、資料的証拠に乏しく、伝説に近いので割愛します。17世紀に活躍したイタリアのアマティ一家、門下のストラディバリ、ガリネリなどクレモナで18世紀に最盛期を迎えたバイオリン製作は、その後、一度衰退していきます。ストラディバリ家が事業を独占したから、とか諸説ありますが、19世紀にバイオリン発達の主流はフランスに移っていきます。

フランスでクレモナの名器を研究した製作家がビヨームです。ビヨームは多くのイタリアの楽器をコピーし発展系を作り、パリで製作していたリュポ達に受け継がれて、現代のバイオリンが作られていきます。なので、19世紀のフレンチの楽器には、音が良いものがたくさんあります。

その製作技術は、各地のバイオリン製作に影響を与えて、技術はイタリアにも逆輸入されています。例えば、現代のバイオリン製作学校では、胴体の厚みをネック側から次第に厚くするように教えますが、これは19世紀のフレンチの典型を取り入れた結果です。

同様に仕上げに使うニスも、時代とともに変遷していて、現代の学校で標準的に習うアルコールニスも、クレモナの時代以降に発達したニスで、古い時代のオイルニスとは別の物です。

ニスのこと

ニスについては過去につくられた様々な嘘があります。
結論からいくと、クレモナのニスに秘密はありません。そもそも秘密などなかったからです。

古い時代のニスはオイルニスです。オイルニスの技術は、油絵のワニスと同じ技術で、過去から現代まで失われたこともなく、その技術は広く知られているものです。

オイルニスを最初に教えないのは、買い手が、ピカピカに磨きあげた艶やかな新作を買ってくれるのと、ニスの作り方がオイルニスに比べて簡単だからです。今でも、多くの製作家がオイルニスを作ってますし作品の仕上げに使っています。オイルの仕上がりは、艶がすこしマットで落ち着いた風合いになり、それはそれで美しいものです。音は、どっちを塗っても大差ありません。ニスは音に僅かな変化を与えますが、基本的には白木で完成した楽器の音がドラスティックに変化するものではありません。

たくさんの楽器に出会うこと

なので、高校卒業して、製作学校を出ただけだと、バイオリン製作の歴史や、製作家の系譜など、あまり勉強できていません。まして、300年の間に世界の様々な製作者が作った作品についての知見は、製作をしているだけでは判りません。

バイオリンの音について多くを知りたければ、たくさんの楽器を実際に弾いてみて、その形や年代の違いを、確認して、経験を積み重ねる必要があります。音は書籍やCDでは伝わりません。弾いたときのレスポンスは、弾いて感触として確認しなければわからないからです。

ちゃんと記録している訳ではありませんが、展示会に出かけた回数や、そのたびに試奏した楽器の数をざっと勘定してみました。ちょっと触った程度は排除して、10分以上は弾いたと思われる台数を計算すると、これまでに2000台以上は確実に試奏した計算になります。

<つづく>











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